2009年11月22日日曜日

CNGに閉じ込められるときの哲学

ダッカです。

ダッカといえば渋滞、を起こしているのは我々。乗っているのが車、でそれはリキシャからバン、オートバイ、乗用車、バス、トラック、ミシュック、電気リキシャ、と、忘れちゃいけないCNG。

このクリーン・ナチュラル・ガス(別の説もあったか)で走る革命的、こま鼠的、愛すべき小さな緑のあんちきしょうは(別の色もあるよ)、我々協力隊にとって、都会での(地方にも最近はあるよ)貴重な足である。

そんなCNGにこの二週間ぐらいで、明らかな変化が見られる。ドアである。普段客である我々が乗る後部座席には左右のドアなど無かった。長期契約や買取で利用する「プライベートCNG」と呼ばれるものにはドアが付いていたのだが、流しで色々な客を乗せる、「普通」のCNGには無かった。つまり乗っていて寝返りを打てば、外に放り出されてリキシャか車か牛かヤギに踏まれるだろうし、むしろこのドアが無いからこそ、座席の空間を超越して、じゅうたんや電柱や野菜など各種荷物を、容量500%ぐらいまでは積むことができていた。

現在、ダッカを走る70%(なんとなく、のデータ)ぐらいのCNGに新しくこの左右のドアが取り付けられている。














この閉鎖感。
たまーにいい感じのCNGに乗ると、ちゃんと内側からドアがロックできるようになっているものがあるが、ほとんどはなんとなく、上の写真のような監獄のようなドアを外から(ドライバーが)ひもだとか針金とかで固定して閉めるようになっている。つまり内側からは開かない。出られない。

閉じ込められているのである。

何で? と私が居候している家の使用人、ミントゥさんに聞いてみたところ、「知らない」という。「でもそれはデンジャラスですね」と明るく笑うので私も笑っていたが、確かに夜など、変なところに連れていかれそうになったときに、飛び降りて逃げることもできない。

などと大げさに書いたが実際乗ってみるとコレ、以外と安心感があるのである、完全に四方を網で囲まれて、ダッカの喧騒から保護されている気分。ホコリはものすごい入ってくるけど。網だから。なるほど、安心感と閉鎖感は表裏一体のものなのだなあ……、とダッカの悪い道をガタゴト揺られながら妙な感慨に浸り……。

何で? とドライバーに聞いてみると「決まりだから」という。「新しい決まりができたんだ。政府が決めたんだ」と。強盗対策、という噂もある。物乞いの方々もあまり寄ってこない。ふーむ、保護されるというのと、閉じ込められるというのは……




その道中、ドラマかなにかの撮影を、むちゃ渋滞している橋のうえで行っていた。今までであれば、ちょっと飛び降りて近くで野次馬して写真を撮るのだが、なにしろ安全に閉じ込められているので、そのなかから盗撮す。

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